6BX7GT 全段差動式真空管アンプ [オーディオ]

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 電力増幅管に6BX7GTを用いた全段差動式真空管アンプです。真空管アンプを自作しようと思ったきっかけはオーディオショップで何気なく試聴したTRN製のSuper12の音でした。パワフルな中低域は高価な半導体アンプと比較しても勝っているように聞こえ、高域は古さを感じない現代的な音が出ます。試聴に用いたSPはB&Wの805Sでしたがミドルハイクラスの半導体アンプで鳴らすよりも圧倒的に好みでした。Super12は6BQ5という安価な5極管をプッシュプルで駆動する構成です。いまさら真空管なんてと思っていたので目から鱗でした。真空管アンプをいろいろ調べているうちにペルケさんの『情熱の真空管』というHPを見つけ、自分でも作れるのではないかと思い勉強を開始しました。はじめはエレキットのTU870を中古で入手して3極管接続へ改造するところから開始。真空管アンプがどんなものかがなんとなくわかったところで本番の設計に着手して3ヶ月で完成に至りました。

 コンセプトは(1)IQ9に合った澄んだ艶やかな高域とボーカル、チェロ、コントラバスが主役に聞こえる特性。(2)第3者に見せても恥ずかしくない仕上がりと質感。(3)高価な部品は使わない(トータルコスト5万円台で実現)。(4)基本的に自己設計。と、こんなところでしょうか・・・  これらを満たすために基本回路は安価なアウトプットトランスでも低域をパワフルに鳴らす全段差動方式として、真空管も安価、且つ高域が綺麗と言われる6BX7GTの採用となりました。

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 6BX7GTは双3極管ですので2個あれば差動出力構成のステレオアンプが出来ます。金額的にも単極管を4本使うよりも安く上がります。欠点は発熱が凄いこと。このため1本あたりの最大プレート損失は12Wまでと低いです。このアンプでのプレート損失は余裕をみて10Wとしたので最大出力は2.7Wしかありません。しかしながら組み合わせるSPの能率が91dBとそれなりに良いため書斎で聞くには十分な音量が得られます。これに組み合わせる電圧増幅管は6SL7GTを使いました。理由はGT管で揃えたかったことです。こちらも双3極管ですので2個あればOKです。負帰還を5.1dBほどかけて最終利得は理論値5.78となりました。(計算あってるかな?)

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回路図

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6BX7GT ロードライン

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6SL7GT ロードライン

 ハラワタも公開します。処女作ですので未熟なのは承知の上です。諸先輩方のアドバイスが頂けると嬉しいです。気にした点は高電圧が振れる部分をなるべく短くするためにあえて空中配線としました。SPに耳をつけてもノイズは聞こえないので配線取り回しはとりあえず問題ないと思ってます。

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 作ってみての感想です。まずは製作に関してですが、今回はペルケさん著書の『情熱の真空管アンプ』を熟読した上で、更にエレキットのTU870で練習した上でのチャレンジだったため一発でまともな音が出るところまで作れました。前段としてDAコンバータを何作か製作して回路製作のなんたるかを多少理解していたこともありますが独学でなんとかなるものですね。予算的には電動工具等の基本アイテムを持っていたこともあり6万円でなんとか収まりました。製作過程は凄く楽しいものでした。アキバでのパーツ散策や回路構想、組み立てをあせらずコツコツ出来上がっていく様子を日々眺める等、苦痛を感じることなく作れました。肝心の音質ですが大満足です。当方オシロスコープ等の計測機器を持ってないためテスターと自分の耳だけが頼りですが狙い通りの音質です。筋肉質な中低域はJAZZを聞くには大ハマリです。古臭さを微塵も感じさせない音質でオーケストラ以外は何でもこなせそうです。オケだけは低域がもっと欲しいと思いました。が、これはSPの特性律束のような気がします。数百万円するSPでも40Hz以下の減衰はかなり大きいですから、ティンパニーや和太鼓の迫力はスーパーウ-ファー入れないと無理でしょうね。とにかく結論としては作って良かったです。


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コメント 2

YASUMASU2_99

こんにちは、
拝見しました。
私もアンプの方やりたいのですが時間が無くとても手がまわりません。
DACキット関連はすこしずつ準備を行っていますので、今後もよろしくお願いします。
by YASUMASU2_99 (2010-09-26 21:40) 

nolley

おはようございます。
記念すべきコメント第一号ありがとうございます。
DACキットでは大変お世話になりました。
貴方のキットから自作オーディオの第一歩を踏み出したのですが、おかげさまで色々作って楽しめるところまできました。
お仕事の方が大変なようですが健康第一で頑張ってください。
今後ともよろしくお願いします。
by nolley (2010-09-27 07:12) 

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