ペルケ式FET差動ローパス回路を使ったTDA1543・DAC [オーディオ]

TDA1543_ペルケ式FETローパス写真.jpg

 フィリップス製のDACであるTDA1543を使ってペルケさんのHPで紹介されている『秋月電子のDACキットを使ったFET差動バッファ式USB DACのローパスフィルタ部をそっくり移植してDACを作りました。TDA1543は前記ペルケ式USB・DACと同じく16bitノンオーバーサンプリングの石ですのでローパス回路の定数は同じはずです。TDA1543はネットでよく音が良いと話題になっている石ですのでTDA1543とペルケ式ローパス回路の組み合わせを試してみたくなりました。実は過去に私自身がFET差動ローパスフィルタを作って2011年の7月にこのブログで紹介しており、数ある手持ちのDACを押しのけてそのDACが我が家のエースDACとして君臨してます。それだけにペルケさん設計のFET差動ローパス回路の実力が気になるところです。

TDA1543_ペルケ式FETローパス.jpg

 回路図です。規模がそこそこあるので作りがいがあります。部品点数が多いのでユニバーサル基板にて製作しており、抵抗は1/4W品でないとレイアウトできなかったので1/4Wです。カップリングコンデンサはTDA1543の出力部がニチコンのファインゴールド、ローパス回路の出力部がニチコンのミューズBPです。回路自体は凡そはぺるけさんの設計通りなのですが2点ほど違いがあります。

 ひとつは差動回路部の定電流回路をトランジスタ式に置き換えています。これは前回紹介したFET差動プリアンプでサーノイズが聞こえると書いたのですが、ここに端を発しています。トランジスタ式なら改善しないかと思ったからです。こちらの効果はこれから検証予定です。今はクロステスト等の検証実験をする体力がありません。なんせお腹に4個も穴が開いてますから・・・ 無理すると内臓が出ちゃいます。そのうち追記という形で報告します。

 ふたつめの変更した箇所は初段のローパスフィルタの定数です。数値が赤字で記載されているところです。ぺるけさんの設計では220Ωと15nFで構成されていますが、私は160Ωと4.7nFとしてローパスの利きを弱めにしてます。これは回路を製作してから約10日ぶっつづけでエージングしたのですがどうしても私の耳には高域プアに感じたからです。好みの問題かもしれませんが・・・ 入院前に製作して電源入れっぱなしでほっといたのですが退院後に聞いてもいまいち納得できなかったので定数変更しました。手持ちの部品を使って探りながら決めたのですが、最初に220Ωを160Ωにしました。あまり音質が変わらなかったので15nFを4.7nFにしました。手持ちて使えそうなのが4.7nFしかなかったのが理由なのですが結果的にこれが良い塩梅となり私の好みの音が出始めました。抵抗の方は220Ωに戻しても良いとは思いますが手持ちが尽きてしまったので160Ωのままとしました。

 手術後の養生のため暇なのでひたすら2日聞き込んでます。聞いてみての第一印象ですが出力カップリングコンデンサが47μFと大きいのでとにかく低域が出ます。いつも聞いているジャズなんぞ一段と迫力が増した感じです。この低域を出すために2SC1815を使ったバッファ回路が追加されているためデメリットとしてFET単段のローパスと比較して音質劣化が心配されるのですが微塵も感じません。とてもシャープに鳴り透き通るような高音が出てます。定位感や広がりもまずまずです。色々な楽器がはっきりと聞こえ音の輪郭を感じます。なかなか良いですね、これ。

 これからじっくり他のDACとも聞き比べしてみようと思います。

 

追記

 定電流回路をトランジスタ式へ置き換えたサーノイズ対策ですが、結果としては大差なかったです。FET式定電流回路でも一緒な感じです。回路が簡単で作りやすい分FET式の方が良いのかな。ノイズ源としてはあとは差動部のFETしか思いつきません。その他の要因としては電源回路が考えられますが、同じ回路を用いた他のDACではウォルフソンのWM8741・DACでは出ないので白かと思ってます。でもバーブラウンのPCM1781・DACでは出ます。WM8741は数十万円級のメーカー製CDプレーヤーにも採用されている石なので流石といったところでしょうか。でも出てくる音はFET差動ローパス式のTDA1543の方が好みの音を出してます。自然でさわやかな高域で中域も音に厚みがあります。
 なんにせよそこそこの利得があるアンプをボリューム全開付近で使用しない限り聞こえません。でもこれからはDACやプリアンプを作る上では利得の大きいアンプで動作確認が必要と思いました。ミニワッターならボリュームレスのパワーアンプでもまったく問題なしです。

 今、6BX7GTのパワーアンプをバランス入力に改造中(回路は昨日完成してデバッグ中)ですが急遽アッテネータ式のボリュームを作製して組み込みました。こちらは3W級のアンプなのでそこそこ利得がありボリュームレスで入力信号直結だとサーノイズが聞こえます。4回路3接点のロータリースイッチを使ったのでボリュームは3段階しか切り替えれませんが入力信号を1/2に減衰するだけで聞こえなくなるので入れた効果は大きいです。6BX7GTのパワーアンプは現在片方のチャンネルだけ若干ノイズが出ているため原因調査中ですがなかなか良い音を出しています。バランス入力にしたら定位が凄く良くなりました。ノイズ対策が完了してエージングが終わったらそのうちブログに書くつもりですが、音がびしっとセンターに来ました。その上、音の広がりも良くなり低域の迫力も増してます。苦労してバランス入力回路を作った甲斐がありました。


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コメント 2

怪鳥

はじめまして。

TDA1543のサーノイズですが自分もでています。
TDA1543のS/Nが96dbですので仕方がないのかと思います。
fn1242(S/N102db)を使ったdacもサーノイズがでます。

ちなみにPCM1781はS/N106db,
wm8741はステレオモードだとS/N125dbです。

回路の実装しだいでS/Nは大分変わりますがDACチップ自体のS/Nが大分違うので仕方がないかと。

by 怪鳥 (2013-04-04 23:52) 

nolley

怪鳥様

書き込みありがとうございます。
情報を頂けて嬉しいです。
TDA1543はもともと仕方の無い石なんですね・・・

実は以前作ったFET差動式プリアンプでも似たようなサーノイズが出ているのでFET回路の方を疑ってました。DACの石がそもそもサーノイズを出すとあってはプリアンプはプリアンプで検証した方が良さそうですね。

私の自作アンプはほとんどボリュームレスですのでプリアンプの入力段に設けたアッテネータ式ボリュームを使っているのですが、PCオーディオとして聞いているのでスピーカーと自分が近いため結構サーノイズが気になってます。
 ボリュームより上流にあるDACのサーノイズはボリュームを絞れば聞こえなくなるのであまり気にしていないのですが、ボリュームより下流にあるFETプリアンプ部のサーノイズはそのままアンプで増幅されてしまい聞こえてしまってます。なんとか改善できないかと考えてますが、そもそもPCオーディオには利得の小さいミニワッターアンプの方が何かと良さそうな気もしてきてます。6BX7GTアンプの活躍する場が皆無になってしまいますが・・・ なんにせよもう少しあがいてみようと思います。
by nolley (2013-04-05 07:04) 

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